サンディエゴ

”あなたに見えている物が私には見えないし、あなたに聴こえている事が私には聴こえないの。それと同時に、私に見えている物があなたに見えてなくて、私に聴こえている事があなたに聴こえていないんだって事も私は知っているわ。私達は同じ世界に生きて、同じ時間を過ごしているように見えて、実のところは全く違う世界で違う時間を過ごしているんじゃないかって、私はそう思うの。どうして私がこんなふうに考えてしまうのか、その理由までは解らないわ、きっと私には生まれつき何かが足りないのか、何かが多すぎるのかもしれないわね。とにかく、私ははっきりと悟ったの、人と人とが分かり合う事なんて土台無理な話なのよ、同じ空間で呼吸して、同じ物事を共有したとしても、決定的にわかりあえない部分が必ず存在するの。その事が私をひどく孤独にするのよ。あなたが悪いわけでは決して無いの、それは本当の事よ、私はただ悲しいだけなの。どうしてこんなにわかりあえないの?どうしてこんなにすれ違ってしまうの?私はあなたを傷つけるつもりなんて無いの、でも、この手紙を読んだらきっとあなたは酷く傷つくでしょう。でも書かずにはいられないのよ。矛盾してるでしょう?あべこべでしょう?私が今何を考えていて、何をしたいのか、私にも全くわからないの。怖いのよ、怖くて仕方ないの。このままあなたや他の人達とわかりあえずに、すれ違い続けて行くんじゃないかって。これ以上すれ違いたくないの、だからしばらく一人にさせて。”