懐かしのロヒスニ

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 ロヒプノールという睡眠薬があった、というか今でもあるんだけど。つい最近(2015年の秋ごろ?)錠剤の仕様が変更された。(上記画像参照)

 これまでは白色の錠剤で無味無臭、飲み物にも比較的よく溶けた。わりと強い睡眠作用があり、アルコールとの併用で健忘の副作用が出ることも多かった。悪いことを考える奴らがこの特性を利用してレイプだとか盗みだとかをやった。その結果、この薬の仕様が変更される事になった。今は表面にフィルムコーティングがなされ、すぐに飲み物などには溶けにくくなっているし、かなりどぎつい青色の着色もされて、溶かした水は一気に真っ青になる。ここまでしなくても良いんじゃない?と思うくらい気持ちの良い青色である。

  さて、タイトルにはロヒスニという単語が入っている、簡単に説明するなら、ロヒスニとは細かく砕いたロヒプノール錠を鼻から吸引(スニッフ)し、摂取する方法のことである。砕く方法はいろいろあるが、乳鉢を使うのが一番手っ取り早い。丁寧に砕けば粉末も細かくなり吸引しやすい。乳鉢はネット通販や東急ハンズなんかで手に入る。吸引具も様々だが僕は人差し指くらいの長さに切ったストローを使っていた。紙幣をくるくる巻いて使ってもいいが、紙幣が汚れるので僕はあまり好きではない、見た目はかっこいいけどね。専用のスニッファーというものもあるが、ストローで十分である。

 僕はロヒスニが好きだった。僕だけでなく、多くの人々がロヒスニを愛していた、その証拠に2chにはロヒスニの専用スレッドまであった。なんとなくアングラっぽいその見た目(コカインを彷彿とさせる)もそうだし、その効果が素晴らしかった。ストローから吸い込み、鼻の粘膜に粉末が付着した瞬間、スーっと心地よいメンソールが抜ける感覚はやみつきになった。ロヒプノールは経口摂取した場合、比較的ゆっくりと効いてくる薬である。しかしスニッフで摂取するとわずか数十秒でその効果が現れる。体の緊張がほぐれ、リラックス出来た。脳の何処かが麻痺しているのか、食欲も増した。僕のようなはみだし者にはちょうどいい娯楽だった。しかし仕様の変更でロヒスニを気軽に楽しむ事はできなくなってしまった。

 仕様が変更されてから、なんとなく馬鹿馬鹿しくなってスニッフはやめた。今は仕様変更後のロヒプノールを医師の処方通りに服用している。

  今、手元には仕様変更前のロヒプノールが数十錠ほど残っている。東急ハンズで買ってきた乳鉢も、まだ机の上に置いてある。僕は時々乳鉢を手に取り、錠剤を砕くコリコリとした小気味良い感触を思い出す。あの頃は何をそんなに忘れたがっていたのか、何からそんなに逃避したがっていたのか。そんな事にふと思いを巡らせてみる。

 

 

※2018年3月、小説の形で僕の臨死体験をまとめました。よかったら読んでみてください。

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