ひとりぼっちおばけがやってきた!
トントントン!トントントン!
れいぎ正しくドアをたたく音でさくらは目をさましました。
ねむい目をこすりながらとけいを見るとまだ夜中の3時です。
「こんなじかんにいったいだれかしら
それに、ママとパパはなぜ気付かないのかしら」
さくらはふしぎに思いながら玄関のドアをあけました。
「こんばんは、ぼくはひとりぼっちおばけ
家の中に入ってもいいかい?外はとてもさむいんだ」
さくらはびっくりしてしばらくひとりぼっちおばけを見つめていました。
でもさむそうにふるえているひとりぼっちおばけを見ていると
さくらはだんだんかわいそうになってきて
家の中に入れてあげることにしました。
「やったー!さっそくぼくとあそぼうよ!かくれんぼに、おにんぎょう遊びに、宝さがしもしよう!」
ひとりぼっちおばけはおおよろこびで部屋じゅうをとびまわり
さくらといっしょにくたくたになるまであそびました。
「あーたのしかった!こんなにむちゅうになってあそぶのは久しぶりだよ!
ありがとう、さくら!」
「どういたしまして、わたしもとっても楽しいわ!さぁ、次は何してあそぶ?」
さくらはすっかりひとりぼっちおばけとなかよしになって
もっといろんなことをしてあそびたいと思いました。
でもひとりぼっちおばけはさびしそうな顔をしてさくらに言いました。
「ごめんねさくら、ぼくはもう帰らないといけないんだ
ぼくはほんとうはここにいてはいけない決まりになっているんだ」
「そんなのいや!」
さくらはかなしくなって、おおきな声でえんえん泣きました。
なみだがつぶになってさくらのほっぺたをつたいました。
ずっとずっと、さくらは泣きつづけました。
いつのまにかひとりぼっちおばけがいなくなっていることにも
さくらは気が付きませんでした。
さくらが泣きやむと、 部屋にはさくらひとりだけでした。
さくらはひとりぼっちでした。
あんなにむちゅうになってあそんだのに
とけいを見ると、まだ夜中の3時でした。
さくらはさびしくなって、ママとパパのねている部屋に向かいました。
トントントン!トントントン!
「こんなじかんにいったいだれかしら
この家にはわたしひとりしか住んでいないはずなのに…」